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今回ご紹介するのは、1970年代に全米の音楽ファンを虜にした伝説のロックバンド「デイジー・ジョーンズ&ザ・シックス」の回想録です。バンドの人間関係や、1978年発売の大ヒットアルバム「Aurora」の制作秘話、そして翌年の全米ツアーのさなか突如バンドを解散するに至った彼らの音楽活動の軌跡が、バンドメンバーや関係者の証言によって語られます。30年以上にわたり謎に包まれたままだったバンド解散の真相が、今はじめて明らかになるのです…。

…ここまで読んで「デイジー・ジョーンズ&ザ・シックスって誰?」と思った方も少なくないでしょう。それもそのはず、彼らは架空のバンドで、この本はフィクションなのです。人気絶頂期のフリートウッド・マックを思わせるこのバンドが魂を削りながら音楽の高みに上り詰めてゆく姿を通して、カウンターカルチャーの影響が色濃く残る70年代の音楽シーンが鮮やかに描き出されます。

物語は初めから終わりまで、インタビュー形式で展開されます。ミュージシャンおよび彼らを支える立場の人々が語る言葉はとてもリアルで、彼らの自負や重圧、葛藤などが浮き彫りになってきます。その光景がまるで音楽ドキュメンタリーを見ているかのように映像として目に浮かび、フィクションであることを何度も忘れそうになりました。ライブの場面などでは「奇跡のようなこの瞬間に私も立ち合いたかった…!」と、真剣に悔しい気持ちにさせられたほど。文字だけでは聴こえてこないはずの彼らの音楽に、すっかり魅せられてしまいました。

70年代という設定が、この物語をより力強いものにしていると思います。ベトナム戦争などで疲弊したアメリカで、若者がドラッグなどの刹那的な快楽に心のよりどころを求めていた時代。音楽は今よりもはるかに力を持っていたのでしょう。既存の文化に対抗していた当時の人々にとって、音楽とは、人と人とが生身の感情をさらけ出してお互いをわかり合うための貴重な手段だったのかもしれません。今の世の中、そんな70年代の生の感覚というか、ざらりとした肌触りみたいなものを必要としている人が、私を含めて少なからずいるのではないでしょうか。


ちなみに私、フリートウッド・マックのアルバム「Rumors(噂)」が大好きなのです。曲の素晴らしさは言うまでもないですが、このアルバムの魅力は「バンド内の人間関係は崩壊寸前だった」という裏話があってこそ。この本を読んだあとでフリートウッド・マックの映像を見ると、今まで以上にグッときますね。スティーヴィー・ニックスが瞳を潤ませ、歌の合間にリンジー・バッキンガムの顔を何度も見つめるその姿に、胸がキュンとします…。




オーディオブックも素晴らしいのでぜひ聴いてみてください(scribdにもあります)。『フラッシュダンス』のジェニファー・ビールス、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の看守メンデス(通称「エロひげ」)役で知られるパブロ・シュレイバーなど、豪華な出演陣で聴きごたえたっぷりです。


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by book-of-dreams | 2019-10-11 07:55 | 歴史小説 | Comments(0)
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私にとって読書は趣味のひとつにすぎませんが、食事や睡眠と同じぐらい、毎日の生活に欠かせない習慣でもあります。1日のうちの貴重な数時間を読書に割くわけですから、自分の血となり肉となるような、何かしらの学びが得られる本を読みたいものです。できればそれは堅苦しい専門書や自己啓発本などではなく、人間模様を巧みに描いたフィクションがいい。

今回ご紹介する「The Masterpiece」は、そんな私の知的好奇心をお腹いっぱいに満たしてくれました。異なる時代のニューヨークに生きる2人の女性の姿を通じ、ニューヨークの街の歴史とアートの世界の光と陰がドラマティックな展開で描かれる、極上の歴史エンターテインメント小説です。

[あらすじ]
1928年のニューヨーク。Clara Dardenは、グランド・セントラル駅の構内にある美術学校でイラストレーションの講師を務めていました。女性であること、またイラストレーションの芸術としての価値の低さから正当な評価が得られず、苦しい生活を強いられていました。
それでも懸命に努力を重ね、雑誌Vogueにその才能を認められたのをきっかけに、イラストだけでなく工業デザインの世界でも成功を収めます。しかしClaraは、1931年にニューヨークで起こったある出来事を境に忽然と姿を消し、世間からその名を忘れられてしまいます…。

1974年。Virginia Clayは夫と離婚し、新たな人生を歩もうとしていました。グランド・セントラル駅の総合案内所で働き始めたVirginiaは、かつて駅の構内に美術学校があった事実を知ります。教室だった部屋は物置きと化し、ホームレスが辺りをうろつく薄気味悪い場所になっていました。「あの部屋には幽霊がいる」と言い出す仕事仲間もいるほどです。
ある日Virginiaは、その部屋で1枚の絵画を見つけます。絵の作者はClara Darden。画家の名前をVirginiaは知りませんでしたが、その絵に強く惹かれて思わず家に持ち帰ってしまいます。Claraの絵に出会ってから不可解な出来事が立て続けに起こり、Virginiaはこの絵に何か秘密が隠されていることに気づきます。仕事仲間のいう「幽霊」とは誰なのか。Clara Dardenはなぜ姿を消したのかー。
その頃、グランド・セントラル駅では再開発の計画が進み、その美しい駅舎は解体の危機に晒されていたのでした…。

世界恐慌、そしてニューヨークを代表する歴史的建造物の解体危機という二つの史実をベースにしたフィクションです。いやーこの本、大当たりでした!この著者の作品を読むのは初めてですが、その筆力にたちまちファンになってしまいました。

巧みなプロット、そしてスリリングな展開。2つの時代を行ったり来たりしますが、変にこねくり回して読者を混乱させることなく、ぐいぐいと一気に読ませてくれます。ストーリーを楽しく追いながらニューヨークの近代史やアートに関するトリビアを同時に学べる、ひと粒で二度も三度も美味しく味わえるお得な一冊です。アメリカのモダンアートに詳しくて勘のいい人なら割と早い段階で結末が読めてしまうかもしれませんが、かじる程度の知識しかない私には十分に楽しめる内容でした。

そして何より、女性の立場が今よりもさらに弱かった激動の時代に、自分の力で人生を切り開いていこうとする2人の女性の姿に感動しました。ポップアートの先駆け的存在でありながら不遇の運命をたどるClaraも、私生活の困難を乗り越えたくましく生きていこうとするVirginiaも、どちらも魅力的。

特にVirginiaは、Claraの謎を追求していくうちにみるみる輝きを増し、大胆になっていきます。情熱が先走って色々とヘマをやらかす様は、まるでコージーミステリーのヒロインのよう。「Virginia、ちょっと落ち着け」と言いたくなりますが、その一生懸命さで周りを巻き込んでいく姿に心を打たれるのです。

ちなみに、この本に登場するグランド・セントラル駅構内の美術学校はかつて実在していたものです(1923年開校、1944年閉鎖)。この美術学校で講師を務めていたHelen Drydenというアーティストは、Clara Dardenのモデルとなっています。またClaraの同僚の画家Levonにもモデルとなる男性講師がいます(Arshile Gorky)。気になる方はGoogleで画像を検索してみてくださいね。ただしWikipediaなどにはネタバレが含まれているので、謎解き重視の方はご注意ください。

物語の舞台となったグランド・セントラル駅には、何度か行ったことがあります。コンコースに立つだけで映画やドラマの主人公のような気分に浸れる、ニューヨークの中でも特に好きな場所です。が、かつて駅舎の建て替え計画があったという事実は、この本を読むまで知りませんでした。次にグランド・セントラル駅を訪れる時には、この本で得た感動を胸に、建物の細部にわたってじっくりと眺めてみたいと思います。

それにしても、アートって何なんでしょう。アートと商業デザインの違いって何? 芸術とお金の関係は? そして芸術家の成功の鍵とはいったい何なのか…。この本を読んで、さらに興味が深まりました。




アートミステリーといえば、和書ですがこちらも面白かったです。


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by book-of-dreams | 2019-09-28 20:25 | 歴史小説 | Comments(0)
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ケイト・ブランシェット主演・リチャード・リンクレイター監督の映画「Where'd You Go, Bernadette」が8月16日に全米で公開されました。


原作である同名のベストセラー小説は私の大好きな本で、先日ご紹介した「お気に入りの洋書7冊」の中にも入っています(記事はこちら>>)。

残念ながらアメリカでの映画の評判はいまひとつのようで、先週末の興行成績トップ10には届かなかったようです。Rotten Tomatoesにおける批評家のスコアは46%と確かに低いのですが、観客のスコアは77%と、それほど悪くありません。日本のケイト・ブランシェットのファンの方は期待していて良いのではないでしょうか。

日本での公開は未定のようですが(ソフト化/配信のみになるかもしれませんね…)、公開を待つあいだ、原作を先に読むというのはいかがでしょうか? 今回は映画公開を記念して、2016年に別館の雑記ブログに投稿したレビュー記事を、若干の加筆・修正の上こちらに転載したいと思います。

[あらすじ]
シアトルの高級住宅街で暮らす主婦Bernadetteは、伝説の建築家としてその名を知られた人物。夫のElgieはMicrosoft社で重要なプロジェクトを担うエース的存在で、TEDトークの歴代視聴数4位という記録を持っています。
そのようなイマドキのエリート夫妻を襲った中年の危機。
人付き合いが極端に苦手なBernadetteは周囲から孤立し、追い詰められたあげく謎の行動をとるようになります。Bernadette本人および彼女と関わりを持つ人々のEメールや手紙、FAXのやりとりなどを通して、Bernadetteの奇行とその理由が少しずつ明らかになっていきます…。

いつの時代であろうがどこの国に住んでいようが、そしてどんな階級に属していようが、女はつらいものなんだなあと、この本を読んで思いました。女性として、また社会人としての生きづらさをつねづね感じ、この国から逃げ出すことばかり考えている私にとって、日本もアメリカも状況は変わらないのだと思えただけでも、この本を読んだ甲斐がありました。

が、この本には、心から共感できる大人のキャラクターが一人も登場しないのです。Bernadetteには同情する部分もたくさんあるし、「人嫌い」という点は私も同じなので親近感を覚えますが、実際にBernadetteのような人が身近にいたら、やはりちょっと面倒くさいだろうなあ~と思ってしまいます(自分に似てるからこそ辛い)。ただ、彼女をとりまく人々があまりにもヒドイので、妻としても母親としても不完全なBernadetteを応援したい気持ちになるのです。

そんな中で、不器用な母親の心に寄り添い続ける一人娘のBeeの存在が、まるで食後のミントティーのように、読む者にさわやかな気持ちをもたらしてくれます。


著者は、アメリカのバラエティーショー『エレンの部屋(原題 "Ellen")』やコメディードラマ『ブル〜ス一家は大暴走!(原題 "Arrested Development")』などを手がけた放送作家です。シニカルな笑いと、実在のレストランやショップ名、商標などを登場させるポップな作風は、いかにもエンタメ業界出身の人らしいと思いました。まさに、ストーリーがそのまま映像として浮かび上がってくる感じです。

しかし、リチャード・リンクレイター監督は原作の持つ世界観を十分に表現し切れなかったと見え、それが映画の低評価につながっているようです。Rotten Tomatoesでの批評家のレビューを見ても、「原作はベストセラーらしいが映画はなぜこれほどつまらないのか」「リンクレイター監督は原作のトーンを正しく捉えていないのでは?」という声が目につきます。そんな中、Bernadette役のケイト・ブランシェットの演技は好評価を得ています(「ブランシェットが映画を救っている!」)。破天荒な「こじらせマダム」ぶりがケイト・ブランシェットによってどのように体現されているか、映画を見るのが楽しみです。




雑記ブログの元記事はこちら>>です。元記事の写真と今回の記事で本のカバーが違うのは、元記事を書いたあと手違いで本を処分してしまい、書い直したからです。この本はKindle版でも持っていますが、気に入った本はフィジカルで持っていたいという、ジャケ買い主義者の悲しい性…。



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by book-of-dreams | 2019-08-21 23:06 | 映像化作品 | Comments(4)
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フランシス・フォード・コッポラ監督による1983年公開の青春映画『アウトサイダー』の原作。米オクラホマ州タルサ出身の女性作家 S・E・ヒントンのデビュー作です。初版は1967年。前回ご紹介した「That Was Then, This Is Now」(レビューはこちら>>)は、本作の続編という位置づけになります。

[あらすじ]
タルサの街では、東側の地域に住む貧困層のギャングGreasersと、西側に住む比較的裕福なコミュニティのギャングSocsが激しく対立しています。Greasersのメンバーである主人公ポニーボーイは、両親を自動車事故で亡くし、2人の兄とともに助け合って生活しています。ポニーボーイの友人ジョニーは、仲間からはペットのように可愛がられていますが、おとなしい性格であるがゆえに常にSocsの標的となっています。ある日、ポニーボーイとジョニーはそれぞれの家庭でのいざこざが原因で家を飛び出し、夜の公園で共に過ごしていたところをSocsのメンバーに囲まれてしまいます。激しいリンチに遭うポニーボーイを助けようと、ナイフを手にしたジョニーがSocsの一人に襲いかかり…。

「That Was Then〜」同様、物語のベースになっているのは経済的格差や道徳観の欠如などです。自らを「ホワイト・トラッシュ(主にアメリカ南部に住む白人低所得層の蔑称)」と呼び、自己肯定感の低さと希望の見えない人生への諦めから、「自分たちと違う」というだけの理由でお互いを傷つけ合う少年たち。Greasersの暴力が経済的余裕のなさからくるフラストレーションの爆発であるのに対し、Socsのそれは単なる暇つぶしで、自分より弱い立場の者をいたぶる以外にやることがないからだというのだから、本当にひどい話です。出発点の違う争いが終わりを迎えることはなく、ただひたすらエスカレートしていくだけなのです。

そして、暴力以外に自分を誇示する方法を知らずに育ってきた彼らは、地獄のような環境から抜け出す術を知りません。また、大人たちの存在も非常に希薄で、子供たちを光の射す方へ適切に導いてくれる人がいないのです。子供たちは常に不安を抱えたまま、次の日の朝を迎えることになります。

この構図、現代にもしっかりと通じています。違いは、凶器がナイフからスマートフォンに変わったことだけ。そこには血こそ流れていないかもしれません。しかし、立場の違う者同士がスマホを介して激しく罵り合い、またその様子がスマホの小さな画面に際限なく流れるのを目の当たりにしているうちに、人の心はどんどん失われている気がします。

この小説の救いは、過酷な状況の下で暮らしつつも「この状況から抜け出したい」「この状況をなんとかしたい」と考えている少年少女が何人かいること。彼らの声にならない悲痛な叫びに胸がキリキリ痛みますが、10代の彼らはわれわれ大人が想像している以上に大人であり、ものごとを自分の頭でしっかりと考えているのだということを改めて認識させられます。大人は(特に日本では)あまりにも、子供を子供扱いしすぎです。

外に目を向ければ果てしない可能性に満ちた世界広がっていることに気づきながらも自力で這い出すことのできない、そんな子供たちを導くのは私たち大人の役目です。子供たちはいつの時代も、そういう大人の存在を心の底では切実に望んでいるのだと思います。私は一人の大人としてもっともっと「声なき声」に耳を傾け、子供たちに希望を語れる存在であり続けなければ…と、この本を読んで強く思いました。

今の私にできることは、本を読むことで目の前の世界が無限に広がる喜びを、拙い文章ではありますがこうして細々と発信していくことだけ。この想いがいつか、誰かの元に届くといいな……。

そして、「違い」ばかりを強調して他人を攻撃している人たちには、この本から拝借したこの言葉を贈りたいと思います。「ウエスト・サイドで見る美しい夕焼けは、イースト・サイドで見ても同じように美しい」

この意味わかってくれるといいなー……。


なお、今回S・E・ヒントンの2冊を読むにあたり、続編の方が先に届いた関係で読む順番が逆になってしまいました。話はそれぞれ独立しているので逆でも差し支えはないのですが、やはり「The Outsiders」を先に読んだ方が物語の前提となる部分をしっかり把握でき、続編にもすんなり入り込めるのでオススメです(当たり前ですね)。そして、「The Outsiders」のキャラクターの何人かは続編にも登場しますので、そのあたりもお楽しみに。



※映画版(未見です)↓ 若かりし日のトム・クルーズなど豪華若手俳優が出演。

※白人貧困層について書かれたコチラ↓もオススメ。再読したくなりました。


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by book-of-dreams | 2019-08-04 18:55 | 映像化作品 | Comments(0)
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このカラフルな丸い物体が、悲しみを倍増させるのです…。

以前ご紹介したRob Sheffield著「Love Is A Mix Tape」(レビュー記事はこちら>>)は、良質な音楽案内であるとともに、読書案内としても興味深い本でした。今回レビューする「That Was Then, This Is Now」は、Sheffield氏が少年時代に読んだという一冊。1971年に出版された、米オクラホマ州タルサ出身の女性作家S. E. ヒントンによる青春小説です。

「Love Is 〜」の中でこの本は「薬物乱用防止の啓発小説 (the don't-take-drugs paperbacks)」とされ、物語から引用した短い文章とともにサラッと触れられているだけだったのですが、その一文がいかにもサイケデリックで、大人の私が読んでもなかなかに怖いんです。「アメリカ人は10代でそんな強烈な本を読むのか…」と、じわじわ気になってきました。Amazonを検索して出てきたこの本のカバーデザインがとても気に入り、即座に購入ボタンをクリックしてしまった次第です。

幼い頃から兄弟のように同じ時を過ごし、固い絆で結ばれていた2人の少年。大人への階段を上るにつれて2人の関係に小さな亀裂が生まれ、やがてその友情は悲しい幕切れを迎えます。

2人の間を引き裂く決定的なきっかけとなったのがドラッグでした。ドラッグが蔓延する背景として描かれているのは、経済格差によるコミュニティの分断と暴力、大人によるネグレクトや精神的虐待などです。社会が抱える問題が、70年代と現在とでほとんど変わっていないことに愕然としました。変わっていないというよりも、歴史は繰り返すということなのかな…。

それと、2人の少年の友情が破綻していくさまが、本当にやるせなくて…。私はこの物語を読んで、サン=テグジュペリの「人間の土地」に書かれていた一文を思い出しました。

「愛するということは、おたがいに顔を見あうことではなくて、いっしょに同じ方向を見ることだ」

どんなにお互いを必要とし、相手を大事に思っているつもりでも、その思いが間違った方向に行ってしまうと、関係が壊れるばかりか相手の人生までも崩壊させることにもなりかねないのです。こんなにも厳しい人生の側面をティーンに向けて語ってしまっていいの?と思いましたが、著者がこの本を書いたのは20歳前後だというから、ただただもう驚きです…。

164ページと短め、英文もシンプルで読みやすいので多読にも最適…と言いたいところですが、読後感は決して良くはないので「ハッピーエンドの作品以外は読みたくない」という方にはオススメしません。ですが、この本で描かれていることは決して遠い世界の話ではなく、人生の歯車がひとつ狂えば誰の身にも起こり得ることだと思います。若者だけでなく幅広い年代に、長く読まれてほしい作品です。

That Was Then, This Is Now (S. E. Hinton) -Amazon.co.jp


※カバー装画と解説は宮崎駿。

※読書中、M&M'sを食べたくてたまらなくなりましたが、読了後はその気持ちもどこかへ消えました…。


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by book-of-dreams | 2019-07-27 00:40 | YA(ヤングアダルト) | Comments(2)
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[あらすじ] 深夜のブルックリン。「僕」はひとり、アパートの片隅でカセットテープを聴いている。妻のレネーがお気に入りの曲を集めて作ったミックステープだ。レネーと出会って以来、2人で数え切れないほどのミックステープを作ってきた。愛し合うときに流す音楽、ダンス用ミックス、睡眠用BGM、皿洗いの時にかける曲、犬の散歩の時に聴く音楽…。2人の性格は正反対で、共通するのは「音楽が好き」ということだけ。レネーといるとき、「僕」はいつでも幸せだった。妻を失ったあの日まではー。

あああああ、もうダメです…。

ここまで書いたところで、私は泣いています。さっきも、写真をアップしたその瞬間に涙が出てきて、しばらく先に進めずにいました。この記事を書き上げるまで、私の精神状態は持つのだろうか。

「Love Is A Mix Tape」は、音楽雑誌Rolling Stoneの寄稿ライターのロブ・シェフィールドさんが、妻レネーさんとの日々を綴った回顧録です。ロブさんの物語は、1993年、彼がブルックリンのアパートで眠れぬ夜を過ごすシーンで始まります。部屋で流れているのは、レネーさんのお気に入りの音楽。しかし、ロブさんの隣にそのレネーさんはいません……。そこから、1人の「草食系音楽オタク」の愛と喪失の思い出が静かに語られていきます。

この本、本編は217ページと短めなんですが、読み終えるまでにすごく時間がかかってしまいました。なぜなら、ロブさんの妻への思いがあまりにも深くて、それがとても悲しくて、一つの章を読み終えるたびに何も手につかなくなるからです。2人で過ごした日常のできごとが淡々と語られているだけなのに、気がつくと涙がこぼれて、胸が張り裂けそうになるのです。

この感覚、前にも経験したことあるぞ。それも最近、似たような気持ちを毎週のように味わってる気がする…。

そうだ、これ、ドラマ「This Is Us/ディス・イズ・アス」だ!

「This Is Us」は、ジャックという人物が⚪︎⚪︎しているという事実を視聴者が知っているからこそ、ジャックと彼を取り巻く人々の人生模様に毎回涙してしまうわけですが、「Love Is A Mix Tape」も、これと同じ構図なのです。ロブさんがレネーさんに向ける優しい眼差しは、「This Is Us」でジャックが見せる、愛する人に自分の全てを捧げる姿そのもの。ロブさんは内気な草食系で、ジャックほど熱い性格ではありませんが…。ああ、この2つを思い返しただけで、また涙が出てきた…。

そしてこの本では、ロブさんとレネーさんの生活をそのときどきで彩ってきた音楽が惜しみなく紹介されています。夫婦ともに音楽ライターというだけあって、曲のセレクトがとても素晴らしいのです。といっても私は特に音楽マニアというわけではないので、知らない曲も結構出てきて…。気になる曲名が出てくるたびに、Spotifyで探して聴いていました。ありがたいことに、Spotifyにはこの本の読者が作ったプレイリストが公開されているのです。全343曲、21時間49分の大作。作成者のJulieさんには感謝の言葉しかありません。


切ない愛の物語ですが、最後は希望の見える形で締めくくられます。人を愛することは、時として辛いこともあるけれど、それでもやっぱり素敵なことだな…と思えます。この本は、これからもボロボロになるまで何度も繰り返し読むことになりそうです。


ちなみに、私がロブさんを知るきっかけになったのは、2015年のローリング・ストーンWeb版に掲載された、ロブさんによるOne Directionののライブレポートでした。

この記事の2番目そして14番目の項目を読んで、即座に「ロブさんとは気が合うな」と思いました。私の読書履歴と日頃の言動を見れば、なんとなくその理由をわかっていただけると思います。私の推しはルイとハリーです(いらない情報)。

そして、ハリー・スタイルズもロブさんの文章を気に入っているようで、雑誌「i-D」のティモシー・シャラメとの対談の中で、お気に入りの本として「Love Is A Mix Tape」を挙げています(日本語版)(英語版)。さらに今年2月には、この本を手にしたハリーの写真が公開され、これにはロブさんも大喜びでコメントを寄せました。このツイートは、私がこの本を購入する決め手になりました。

本と私の出会いは、本探しとは関係のないところで、こんなふうに偶然やってくることが多いです。人との出会いと同じように。



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by book-of-dreams | 2019-07-11 07:00 | 回顧録・伝記 | Comments(8)
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昨年(2018年)ボストンを旅行した際、ハーバード大学のすぐそばにある独立系の本屋さんで「Voracious」という本に出会いました。「地元出身の作家」の棚に並べられているのを見つけ、「可愛い!」と即買いしたものです。

著者はCara Nicolettiさん。ボストンの精肉店の娘として生まれ、現在はニューヨークでソーセージ職人およびfood vloggerとして活躍している女性です。幼少期は、家族がお店を切り盛りするそばで本を読みながら過ごしていたそうです。この本では、Nicolettiさんがこれまでに読んできた本にまつわる思い出と、本に出てくる(もしくは本にインスパイアされた)料理のレシピが紹介されています。柔らかなタッチでページを彩るMarion Bologneseさんのイラストも素敵です。
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ベッドの脇に置いて寝る前にパラパラめくっているだけで、優しい気持ちになれる本。読んでいるとお腹が空いてくるのが困りものですが…。読書も食べることも大好きな私にとって、この本はボストンで見つけた最高の宝物になりました。


話は変わって。

ボストンの食べ物で強く心に残っているのは、ホットドッグです。といっても、私は食べていないのですが…。
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ボストンに到着したその日の夜、ボストン・レッドソックスの試合を見に行きました。平日だというのに、スタンドは超満員でした。試合中、ホットドッグやピーナッツの売り子がスタンドを回ってきます。通路から離れた席に座っている人は、「ホットドッグ2つ!マスタード多めで!!」と大声で叫びます。こんなとき、私のようなシャイな人間なら「叫ぶのは恥ずかしいからトイレのついでに売店で買おう」となりますが、アメリカ人はもちろん遠慮したりしません。そして、代金が周囲の観客のバケツリレーで売り子に届くと、再び観客の連携プレーによってホットドッグが注文した人の元に帰っていく仕組み。

何度目かの「絶叫オーダー」のあと、われわれの座席を回ってきたのはなんと100ドル札でした。普通、アメリカのお店では高額紙幣はまず受け取ってもらえません。これにはスタンドもざわめきます。「マジかよ」「もらっちゃおうかな」「ニセ札じゃねーの」「お釣りあんのか?」そんな声とともに100ドル札は観客の手を渡ってゆき、無事に売り子の元へ届きました。売り子はお札をライトに透かしてニセ物でないことを確かめ、ホットドッグはめでたく注文者の元へ。「お釣りが足りないから、後でそっちに持っていくよ!」売り子さんはそう言って立ち去り、ほどなくしてお釣りはちゃんと返されたようでした。おそらく、崩したお金がバケツリレーの途中で抜き取られたりしないよう、売り子さんが気を使ったのかもしれません。

レッドソックスのファンは終始こんなふうに愉快で、熱くて、人間臭くて、試合そのものより人間ウォッチングをしている方がずっと楽しかったです。私の手を通り過ぎていったホットドッグは大きくて熱々で、とてもいい匂いがしました。その日はひどい時差ボケで胃の調子がおかしく、ホットドッグを食べられなかったことが心残りですが。しかしその数日後、地元のソーセージ職人が書いた心温まる本に巡り会えたのですから、私にとっては100ドル札が束で回ってきたのと同じぐらい、価値のある旅になりました。




ボストン野球観戦の思い出を別館の雑記ブログでも綴っています。


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by book-of-dreams | 2019-07-02 22:54 | 本好きのひとりごと | Comments(8)
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ニューヨークにあるキッチン雑貨のお店「Fishs Eddy(フィッシュ・エディ)」。マンハッタンやブルックリンの街並みをモチーフにした可愛らしいイラストや、ユーモラスなメッセージがあしらわれたオリジナルの食器が人気のお店。日本でもPLAZA(旧ソニープラザ)などでの取り扱いがあり、ご存知の方も多いと思います。私もこのお店が大好きで、ニューヨークを訪れた時には必ず立ち寄り、SALEのコーナーで掘り出し物を探すのを毎回楽しみにしています。

Fishs Eddyは、Julie GainesさんとDave Lenovitzさん夫妻によって1986年に創業されました。そのお店の歴史が1冊の本になっています。タイトルは「Minding the Store: A Big Story about a Small Business」。文章はJulieさん。そして全編を彩るふんだんなイラストを、息子のBen Lenovitzさんが描いています。

昨年秋、お店の公式サイトでこの本が紹介されているの見て、表紙の可愛いイラストに一目惚れして購入。本を読むのが遅い私が1日で一気に読んでしまうほど読みやすく、かつ中身の濃い、素敵な本でした。
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全ページを飾る、味わい深い手描きのイラスト

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お店の代表作「212スカイライン」シリーズの誕生秘話も


ご夫婦の出会いに始まり、お店のオープンから現在に至るまで、興味深いエピソードが次々に登場します。作風こそほのぼのとしていますが、Amazonでも「起業」「ビジネス」のカテゴリに分類されているだけあって、実はなかなかにシビアな内容。資金繰りの苦労や、家庭生活でのいざこざ、ビジネスが大きくなるにつれて起こる従業員との衝突など、家族経営の小規模ビジネスにおける苦難のあれこれが率直に綴られます。それらの苦労話が、JulieさんのユーモアのセンスとBenさんのほっこりしたイラストによって絶妙に中和され、軽妙で人間味あふれるサクセスストーリーに仕上がっています。

ビジネスに口を出すけど役には立たない母親の話などには思わずプッと吹き出し、9.11テロが起きた際の出来事には胸がジーンと熱くなります。どんな時でもユーモアを忘れずに前進し続けるというJulieさん一家の姿勢はFishs Eddyのモノづくりにそのまま生かされているし、時代の波にさらされながら懸命にお店を守ってきた一家のプライドを感じます。

これまでに読んできた起業家の本(スターバックスのハワード・シュルツ、Amazonのジェフ・ベゾス、そしてドナルド・トランプ…など)の中でも、この本が心に最も響きました。そして、お店の歴史を知り、FIshs Eddyがますます好きになりました。現在、ニューヨークでは地価の高騰が止まらず、家族経営のビジネスを続けていくのは非常に困難であると聞いています。Fishs Eddyにはどうか変わらず(そして引き続き進化しながら)今の場所にずっとあり続けてほしいです。

Minding the Store: A Big Story about a Small Business -Amazon.co.jp

フィッシュ・エディ(公式サイト): Fishs Eddy

NY在住のブロガー・りばてぃさんによるFishs Eddyのレポートはこちら:「ニューヨークの遊び方」



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by book-of-dreams | 2019-06-23 15:02 | 回顧録・伝記 | Comments(5)
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本の向こうにぼんやり写っているのは、
ニューヨークのお土産屋さんで買ってバラまき損ねたトランプ印のチョコレート。
ブーテジェッジ大統領バージョンのチョコが出る日が来たら、絶対に買います!

出木杉くんは、現実世界に実在した!

37歳のアメリカ大統領候補、ピート・ブーテジェッジ氏の回顧録を読み終えました。この本を購入した経緯は以前書いた通り

それにしてもこのブーテジェッジ(追記:6月25日放送のNHKニュースウォッチ9では『ピート・ブティジェッジ』と表記)氏、知れば知るほど、人として完璧なんです。ドラえもんの出木杉くんよりさらに出来過ぎ。

ドラえもんを観たことのある人なら、その大半が出木杉くんではなくのび太くんを応援するはず。非の打ち所のない人間は、往々にしてわれわれ凡人の目にはイヤミに映ったりするものです。しかし、ブーテジェッジ氏にはそれがない。むしろ、神様がこの世に遣わした天使なのではないかと本気で思ってしまうぐらい、全てが清々しいのです。


あらゆる政治家を貶しまくるアメリカの深夜トークショーの司会者も、この人に関しては批判する要素がなくて困っている様子。「ザ・デイリー・ショー」のトレバー・ノアさんも、仕方なく、いつも通りに現大統領をオチに使うしかないようです。


司会者「(2分27秒あたりから)ブーテジェッジ氏は7カ国語に堪能なんです。『ノルウェー人作家の本が読みたい』という理由でノルウェー語をマスターしてしまうんですよ。スゴくないですか? それに引き換え現大統領ときたら…。本はまったく読まないし、まともに話せる言語もゼロ!」


司会者「(1分40秒あたりから)あなたはオックスフォード奨学生で、元軍人で、ゲイでありながら敬虔なクリスチャン。語学に堪能で、保守的な中西部の出身で、行政の経験まで積んでいる…。あのー、何か大きなスキャンダルになりそうなネタはないんですか? 地下室に死体を隠しているとか…」
ブーテジェッジ「死体はないですw」
司会者「死体もない、か…」

私も、トレバー・ノアさんと同じ感想しかありません…。

毒舌が売りのコメディアンとしてはツッコミどころがないと商売にならないでしょうから、視聴率を維持するためにはトランプ続投の方が都合がいいかも知れませんね!?


それはさておきこのブーテジェッジ氏、先ほど「天使のよう」だと書きましたが、理想郷を追い求めて綺麗事を並べ立てるような、ふわふわした人ではありません。回顧録から見えてくる彼の素顔は、現実を冷静に見極め、ミレニアル・さとり世代らしい割り切りと潔さをもって計画を実行に移す、地に足のついた人物です。

ノスタルジーに浸りすぎず、イデオロギーにも縛られず、良いアイデアがあれば、超党派での実現を模索します。LGBT差別主義者であるマイク・ペンス現副大統領に対してさえも何とか共通項を見出だし、地域経済の復興のために協力し合う道を探ろうとするのです。ブーテジェッジ氏の人気の秘密は、この潔さとしなやかさにあるのではないでしょうか。右と左の両端から罵り合う人々を眺めて日々うんざりしている私のような者にとって、ブーテジェッジ氏は砂漠のなかのオアシスのような存在。地道にコツコツ暮らしを営む中間層の気持ちをわかってくれる人がようやく現れた…と言う感じです。

それからこのブーテジェッジ氏、ハーバード大学では歴史と文学を専攻していただけあり、ストーリーを語るのがとても上手いのです。回顧録では、選挙の遊説中にローカルフード攻めに遭った、とか、従軍中に理不尽な理由で上司に怒られた…というような小話が生き生きと語られ、アメリカの外に住む私のような者にも、この国を取り巻く現状がリアルに伝わってきます。大統領の任期を終えたら(←気が早すぎ)、ぜひとも作家になってほしい。

何といってもこの回顧録のクライマックスは、夫のChasten(「チャスティン」と発音するようです)さんとの愛の物語ですよ!

恋をしたい人、今恋をしている人、愛する人にプロポーズをしようとしている人、愛に少々疲れている人…そんな方々は、第6章の16節「Becoming One Person」と17節「Becoming Whole」だけでも今すぐ読んでほしいです。これまでさまざまな本を読んできましたが、これほどまでに心にまっすぐ響く美しいラブストーリーを、私は他に知りません。


先日、結婚1周年を迎えられたそうです。おめでとう!これからも末長くお幸せに…。



トレバー・ノアさんの自伝もオススメです



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by book-of-dreams | 2019-06-20 08:49 | 回顧録・伝記 | Comments(2)

Red Clocks (Leni Zumas)

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5月15日、アメリカ南部アラバマ州で、人工妊娠中絶を全面的に禁止する法案が成立。同日付のニューヨーク・タイムズでは「人工妊娠中絶問題を深く知るための本」として、3冊の本が紹介されていました。

その中で気になったのが、Leni Zumasの「Red Clocks」。赤を基調とした手描き風の表紙デザインに強く惹かれたのです。女性ディストピア小説の名作「The Handmaid's Tale」と比較する声も多いようですが、こちらは現実により近い設定で描かれているとのこと。今のアメリカ社会を覆う閉塞感が実感できればと思い、購入を決めました。手元に届いたその日からさっそく読み始めたのですが……。
【あらすじ】
近未来のアメリカ。全ての州で人工妊娠中絶が違法となるなど、女性の権利が次々に奪われている。オレゴン州に暮らす高校教師のRoは、独身のまま子どもを持つことを望んでいる。しかし養子縁組が認められるのは両親が揃っている場合のみ、さらには体外授精も禁止という状況では、親になれる可能性は限りなく低い。Roの友人Susanは夫との関係に不満を抱えつつ子育てに奮闘している。Roの教え子Mattieは、望まない妊娠に一人悩んでいた。そして薬草師のGinは、深い森の奥で、悩みを抱える女性たちのために違法な薬を調合する。彼女たちを待ち受ける運命とは…。
えーと、すみません…
半分ほど読んだところで挫折しました…。

作者の文体にどうしても馴染めませんでした。トピックの一つ一つはどこかで聞いたことのある話ばかりなのに、頭にスッと入ってこず、ページをめくる手がしばしば止まります。登場人物の呼び名が章によってコロコロ変わったり、新たなキャラが説明もなく唐突に登場したり、これから盛り上がるかなというところで話の流れが断ち切られたり…。文章が技巧に走りすぎて、ストーリーに集中できないのです。

私の英語力では、このこねくり回された文章を読みこなすのは無理なのでしょう。少々凹みつつgoodreadsのレビューを覗いてみると「読みづらい。挫折した」と言っている同志がちらほらいたので、ひとまずホッと胸をなでおろした次第。

現実社会でこの先「当事者」になるかもしれないアラバマ州やジョージア州の女性がこの本を読んだらどう感じるか、聞いてみたいところです。

残念ながらお気に入りの一冊にはなりませんでしたが、表紙のデザインは本当に好きです。
そもそもこの表紙のどこに惹かれたのか自分でもわからなかったので、改めてじっくり眺めてみました。タイトルの下に描かれた赤い宝石のようなものは女性器のようにも見えます。タブーを破って権力に立ち向かう女性の決意を表しているのでしょうか? そういえば、タイトルの意味もよくわからないなあ。これらの答えはきっと本の中に書かれているはず。この本は大切にとっておき、英語力を磨いて再チャレンジしようと思います。

"Red Clocks" (Leni Zumas) - Amazon.co.jp



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by book-of-dreams | 2019-06-03 00:25 | ディストピア | Comments(8)

趣味で洋書を読んでいます。表紙に一目惚れして衝動買いした洋書のレビュー、本に対する偏愛、英語の勉強などについて綴ります。


by Hiroko