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カテゴリ:映像化作品( 4 )

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「英語の本を英語で読めるようになりたい!」そんな情熱だけを頼りに、10年以上、ひたすら洋書を読み続けてきました。いわゆる英語教材を使った「勉強」は、英語のやり直しを始めた頃に少しだけ取り組みましたが、ほどほどのところで切り上げ(だって勉強キライなんだもん…)、あとは気のおもむくままに、読みたい本をむさぼるように読んできただけ。かつて使っていた文法書や単語集を気が向いた時に見直したりすることは今でもたまーにありますが…。

そんなハリボテの英語力で洋書を読み続けていると、たまに脳がショートして、英文がまったく頭に入ってこなくなることがあります。また、どれだけ本を読んでも、どうしても覚えられない単語や知らないイディオムがこれでもかというぐらい出てきて、自分の語学センスのなさ、記憶力の悪さに深く落ち込んでしまうことも。

そんな時には本を読むのを一旦やめて、映画や海外ドラマを観てリフレッシュします。英語熱を再び高めるため、私がこれまでに何度も見返してきたのが『イン・ハー・シューズ』という映画です。性格も生き方もまったく違う姉妹が、互いに対して抱いていたコンプレックスを克服し、自分らしい生き方を見いだすまでを描いた物語です。

キャメロン・ディアスが演じる妹のマギーにはdyslexia(難読症/学習障害)があり、読み書きが満足にできません。そのため定職に就くことができずに荒れた日々を送っていました。ところがある出来事がきっかけで、マギーは詩を読む喜びに目覚めます。その瞬間のマギーの弾けるような笑顔は本当に可愛くて、そのシーンを見返すたびに、自分の肩の力がすうっと抜けていく気がするのです。

あせらなくていいんだ。上手く読めなくても、早く読めなくても、その内容をじっくりと味わい、ただ楽しめばいいんだ…って。

そう思うと、洋書を読むときの心のハードルがグッと低くなります。

マギーはこの出来事を境に自信を取り戻し、未知なる可能性の扉を開くことになります。さらにマギーだけでなく、姉のローズ(トニ・コレット)や祖母のエラ(シャーリー・マクレーン)もそれぞれに悩みや孤独を抱えていましたが、やがて転機が訪れ、これまでとは違う人生を歩み始めるのです。

この3人の女性のドラマを追ううちに「人生、いつでもやり直せる」と思えてきて、勇気が湧いてきます。劇場公開当時はマギーに共感を覚えていた私も、今では祖母エラの気持ちが理解できるようになり…。歳月の流れと諸行無常の響きをいやが応にも感じますね………。

何度も見返すほどのお気に入りの映画。せっかくなので原作小説も読んでみました。原作と映画では、面白さは映画の方が上回っているかなと思います。

例えば、マギーが詩を読む喜びを知るきっかけとなる場面ですが、原作と映画では設定がまったく異なります。小説の方はかなり突飛で非現実的。私は映画版の方が断然好きです。ただ、小説の展開も文字で読む分にはそれなりに面白く、私のようなbook loverが現実ではやりたくてもできないようなことをマギーが代わりにやってくれたりして、映画とは違った爽快感を味わえます。

小説の方は、何度も読み返すようなことはそんなにないかな…と個人的には思っていますが、心に刺さる会話文が小説版にあったので、ここにメモしておきますね。マギーの姉ローズが、ソリの合わない自分の継母について、年配のご婦人に愚痴っている場面です。

“A lemon,” said Mrs. Lefkowitz.
「(あなたの継母は)レモンね」レフコウィッツ夫人が言った。

“Hah?”
「どういうこと?」

“Think about fruit. When you squeeze an orange, what do you get? You get orange juice. You don’t get grapefruit juice, you don’t get apple juice, you don’t get milk. You get orange juice. Every time. People like that. They can only give you what you have inside. So if this Sydelle (Rose & Maggie’s stepmother) character is giving you so much trouble, it’s because she’s nothing but trouble on the inside.”
「果物について考えてごらんなさい。オレンジを搾るとオレンジジュースができるでしょう? グレープフルーツジュースはできないし、りんごジュースにもならない。オレンジを搾ってもミルクは出てこない。あなたがオレンジなら、できるのはオレンジジュースなの。人間も同じことよ。人と接するとき、表に出てくるのは内側から湧き出てくるものだけ。そのシデルって女があなたを苦しめてばかりいるとしたら、それはほかでもなく彼女自身が苦しんでいるからよ」


レモンは「嫌なもの」「人に苦痛を与えるもの」の意味。私も、酸っぱいレモンジュースではなくオレンジジュースを作れる人間になりたいものです。







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by book-of-dreams | 2019-09-12 09:58 | 映像化作品 | Comments(8)
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ケイト・ブランシェット主演・リチャード・リンクレイター監督の映画「Where'd You Go, Bernadette」が8月16日に全米で公開されました。


原作である同名のベストセラー小説は私の大好きな本で、先日ご紹介した「お気に入りの洋書7冊」の中にも入っています(記事はこちら>>)。

残念ながらアメリカでの映画の評判はいまひとつのようで、先週末の興行成績トップ10には届かなかったようです。Rotten Tomatoesにおける批評家のスコアは46%と確かに低いのですが、観客のスコアは77%と、それほど悪くありません。日本のケイト・ブランシェットのファンの方は期待していて良いのではないでしょうか。

日本での公開は未定のようですが(ソフト化/配信のみになるかもしれませんね…)、公開を待つあいだ、原作を先に読むというのはいかがでしょうか? 今回は映画公開を記念して、2016年に別館の雑記ブログに投稿したレビュー記事を、若干の加筆・修正の上こちらに転載したいと思います。

[あらすじ]
シアトルの高級住宅街で暮らす主婦Bernadetteは、伝説の建築家としてその名を知られた人物。夫のElgieはMicrosoft社で重要なプロジェクトを担うエース的存在で、TEDトークの歴代視聴数4位という記録を持っています。
そのようなイマドキのエリート夫妻を襲った中年の危機。
人付き合いが極端に苦手なBernadetteは周囲から孤立し、追い詰められたあげく謎の行動をとるようになります。Bernadette本人および彼女と関わりを持つ人々のEメールや手紙、FAXのやりとりなどを通して、Bernadetteの奇行とその理由が少しずつ明らかになっていきます…。

いつの時代であろうがどこの国に住んでいようが、そしてどんな階級に属していようが、女はつらいものなんだなあと、この本を読んで思いました。女性として、また社会人としての生きづらさをつねづね感じ、この国から逃げ出すことばかり考えている私にとって、日本もアメリカも状況は変わらないのだと思えただけでも、この本を読んだ甲斐がありました。

が、この本には、心から共感できる大人のキャラクターが一人も登場しないのです。Bernadetteには同情する部分もたくさんあるし、「人嫌い」という点は私も同じなので親近感を覚えますが、実際にBernadetteのような人が身近にいたら、やはりちょっと面倒くさいだろうなあ~と思ってしまいます(自分に似てるからこそ辛い)。ただ、彼女をとりまく人々があまりにもヒドイので、妻としても母親としても不完全なBernadetteを応援したい気持ちになるのです。

そんな中で、不器用な母親の心に寄り添い続ける一人娘のBeeの存在が、まるで食後のミントティーのように、読む者にさわやかな気持ちをもたらしてくれます。


著者は、アメリカのバラエティーショー『エレンの部屋(原題 "Ellen")』やコメディードラマ『ブル〜ス一家は大暴走!(原題 "Arrested Development")』などを手がけた放送作家です。シニカルな笑いと、実在のレストランやショップ名、商標などを登場させるポップな作風は、いかにもエンタメ業界出身の人らしいと思いました。まさに、ストーリーがそのまま映像として浮かび上がってくる感じです。

しかし、リチャード・リンクレイター監督は原作の持つ世界観を十分に表現し切れなかったと見え、それが映画の低評価につながっているようです。Rotten Tomatoesでの批評家のレビューを見ても、「原作はベストセラーらしいが映画はなぜこれほどつまらないのか」「リンクレイター監督は原作のトーンを正しく捉えていないのでは?」という声が目につきます。そんな中、Bernadette役のケイト・ブランシェットの演技は好評価を得ています(「ブランシェットが映画を救っている!」)。破天荒な「こじらせマダム」ぶりがケイト・ブランシェットによってどのように体現されているか、映画を見るのが楽しみです。




雑記ブログの元記事はこちら>>です。元記事の写真と今回の記事で本のカバーが違うのは、元記事を書いたあと手違いで本を処分してしまい、書い直したからです。この本はKindle版でも持っていますが、気に入った本はフィジカルで持っていたいという、ジャケ買い主義者の悲しい性…。



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by book-of-dreams | 2019-08-21 23:06 | 映像化作品 | Comments(4)
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フランシス・フォード・コッポラ監督による1983年公開の青春映画『アウトサイダー』の原作。米オクラホマ州タルサ出身の女性作家 S・E・ヒントンのデビュー作です。初版は1967年。前回ご紹介した「That Was Then, This Is Now」(レビューはこちら>>)は、本作の続編という位置づけになります。

[あらすじ]
タルサの街では、東側の地域に住む貧困層のギャングGreasersと、西側に住む比較的裕福なコミュニティのギャングSocsが激しく対立しています。Greasersのメンバーである主人公ポニーボーイは、両親を自動車事故で亡くし、2人の兄とともに助け合って生活しています。ポニーボーイの友人ジョニーは、仲間からはペットのように可愛がられていますが、おとなしい性格であるがゆえに常にSocsの標的となっています。ある日、ポニーボーイとジョニーはそれぞれの家庭でのいざこざが原因で家を飛び出し、夜の公園で共に過ごしていたところをSocsのメンバーに囲まれてしまいます。激しいリンチに遭うポニーボーイを助けようと、ナイフを手にしたジョニーがSocsの一人に襲いかかり…。

「That Was Then〜」同様、物語のベースになっているのは経済的格差や道徳観の欠如などです。自らを「ホワイト・トラッシュ(主にアメリカ南部に住む白人低所得層の蔑称)」と呼び、自己肯定感の低さと希望の見えない人生への諦めから、「自分たちと違う」というだけの理由でお互いを傷つけ合う少年たち。Greasersの暴力が経済的余裕のなさからくるフラストレーションの爆発であるのに対し、Socsのそれは単なる暇つぶしで、自分より弱い立場の者をいたぶる以外にやることがないからだというのだから、本当にひどい話です。出発点の違う争いが終わりを迎えることはなく、ただひたすらエスカレートしていくだけなのです。

そして、暴力以外に自分を誇示する方法を知らずに育ってきた彼らは、地獄のような環境から抜け出す術を知りません。また、大人たちの存在も非常に希薄で、子供たちを光の射す方へ適切に導いてくれる人がいないのです。子供たちは常に不安を抱えたまま、次の日の朝を迎えることになります。

この構図、現代にもしっかりと通じています。違いは、凶器がナイフからスマートフォンに変わったことだけ。そこには血こそ流れていないかもしれません。しかし、立場の違う者同士がスマホを介して激しく罵り合い、またその様子がスマホの小さな画面に際限なく流れるのを目の当たりにしているうちに、人の心はどんどん失われている気がします。

この小説の救いは、過酷な状況の下で暮らしつつも「この状況から抜け出したい」「この状況をなんとかしたい」と考えている少年少女が何人かいること。彼らの声にならない悲痛な叫びに胸がキリキリ痛みますが、10代の彼らはわれわれ大人が想像している以上に大人であり、ものごとを自分の頭でしっかりと考えているのだということを改めて認識させられます。大人は(特に日本では)あまりにも、子供を子供扱いしすぎです。

外に目を向ければ果てしない可能性に満ちた世界広がっていることに気づきながらも自力で這い出すことのできない、そんな子供たちを導くのは私たち大人の役目です。子供たちはいつの時代も、そういう大人の存在を心の底では切実に望んでいるのだと思います。私は一人の大人としてもっともっと「声なき声」に耳を傾け、子供たちに希望を語れる存在であり続けなければ…と、この本を読んで強く思いました。

今の私にできることは、本を読むことで目の前の世界が無限に広がる喜びを、拙い文章ではありますがこうして細々と発信していくことだけ。この想いがいつか、誰かの元に届くといいな……。

そして、「違い」ばかりを強調して他人を攻撃している人たちには、この本から拝借したこの言葉を贈りたいと思います。「ウエスト・サイドで見る美しい夕焼けは、イースト・サイドで見ても同じように美しい」

この意味わかってくれるといいなー……。


なお、今回S・E・ヒントンの2冊を読むにあたり、続編の方が先に届いた関係で読む順番が逆になってしまいました。話はそれぞれ独立しているので逆でも差し支えはないのですが、やはり「The Outsiders」を先に読んだ方が物語の前提となる部分をしっかり把握でき、続編にもすんなり入り込めるのでオススメです(当たり前ですね)。そして、「The Outsiders」のキャラクターの何人かは続編にも登場しますので、そのあたりもお楽しみに。



※映画版(未見です)↓ 若かりし日のトム・クルーズなど豪華若手俳優が出演。

※白人貧困層について書かれたコチラ↓もオススメ。再読したくなりました。


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by book-of-dreams | 2019-08-04 18:55 | 映像化作品 | Comments(0)
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Amazonプライムビデオのオリジナルシリーズグッド・オーメンズ』が面白い!

世界の破滅を防ぐために天使と悪魔がタッグを組む…というファンタジードラマ。ポップな映像と、いたるところに散りばめられたブラックユーモアがもうたまりません。

天使アジラフェルと悪魔クロウリーは、性格も風貌も役割もまさに正反対。混ざり合う要素があるはずのない間柄でありながら、実は裏表一体で相性バツグンなのです。そんな2人のコミカルな掛け合いが、ブロマンスに目がない私のハートをたっぷり刺激してくれます。

天使も悪魔も、ともにすこぶるチャーミングなのですが、とくに、悪魔のクロウリーが最高にロックで素敵なのです。彼の放つ一言一言がごもっともすぎて、我々人間が、悪いヒトや体に悪い食べ物や有害なコンテンツについつい引き寄せられてしまう理由がよーくわかります。

それでですね、今、原作本を買おうか悩み中なのです…。

だって、表紙が私好みなんだもの。
TV Tie-in版もありますが、私が買うなら絶対にこっちです。

って、いかんいかん…!
読まなきゃいけない本が溜まりに溜まってるのに!!!
でもやっぱり欲しいなー読みたいよーー。

私の中の天使と悪魔が、今この瞬間も激しく闘っています。
(結局、悪魔が勝ちそうな予感…)



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by book-of-dreams | 2019-06-11 20:26 | 映像化作品 | Comments(4)

趣味で洋書を読んでいます。表紙に一目惚れして衝動買いした洋書のレビュー、本に対する偏愛、英語の勉強などについて綴ります。


by Hiroko