人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ボストンの本と食べ物の思い出

ボストンの本と食べ物の思い出_e0414617_09004601.jpg
昨年(2018年)ボストンを旅行した際、ハーバード大学のすぐそばにある独立系の本屋さんで「Voracious」という本に出会いました。「地元出身の作家」の棚に並べられているのを見つけ、「可愛い!」と即買いしたものです。

著者はCara Nicolettiさん。ボストンの精肉店の娘として生まれ、現在はニューヨークでソーセージ職人およびfood vloggerとして活躍している女性です。幼少期は、家族がお店を切り盛りするそばで本を読みながら過ごしていたそうです。この本では、Nicolettiさんがこれまでに読んできた本にまつわる思い出と、本に出てくる(もしくは本にインスパイアされた)料理のレシピが紹介されています。柔らかなタッチでページを彩るMarion Bologneseさんのイラストも素敵です。
ボストンの本と食べ物の思い出_e0414617_09005084.jpg
ベッドの脇に置いて寝る前にパラパラめくっているだけで、優しい気持ちになれる本。読んでいるとお腹が空いてくるのが困りものですが…。読書も食べることも大好きな私にとって、この本はボストンで見つけた最高の宝物になりました。


話は変わって。

ボストンの食べ物で強く心に残っているのは、ホットドッグです。といっても、私は食べていないのですが…。
ボストンの本と食べ物の思い出_e0414617_09005628.jpg
ボストンに到着したその日の夜、ボストン・レッドソックスの試合を見に行きました。平日だというのに、スタンドは超満員でした。試合中、ホットドッグやピーナッツの売り子がスタンドを回ってきます。通路から離れた席に座っている人は、「ホットドッグ2つ!マスタード多めで!!」と大声で叫びます。こんなとき、私のようなシャイな人間なら「叫ぶのは恥ずかしいからトイレのついでに売店で買おう」となりますが、アメリカ人はもちろん遠慮したりしません。そして、代金が周囲の観客のバケツリレーで売り子に届くと、再び観客の連携プレーによってホットドッグが注文した人の元に帰っていく仕組み。

何度目かの「絶叫オーダー」のあと、われわれの座席を回ってきたのはなんと100ドル札でした。普通、アメリカのお店では高額紙幣はまず受け取ってもらえません。これにはスタンドもざわめきます。「マジかよ」「もらっちゃおうかな」「ニセ札じゃねーの」「お釣りあんのか?」そんな声とともに100ドル札は観客の手を渡ってゆき、無事に売り子の元へ届きました。売り子はお札をライトに透かしてニセ物でないことを確かめ、ホットドッグはめでたく注文者の元へ。「お釣りが足りないから、後でそっちに持っていくよ!」売り子さんはそう言って立ち去り、ほどなくしてお釣りはちゃんと返されたようでした。おそらく、崩したお金がバケツリレーの途中で抜き取られたりしないよう、売り子さんが気を使ったのかもしれません。

レッドソックスのファンは終始こんなふうに愉快で、熱くて、人間臭くて、試合そのものより人間ウォッチングをしている方がずっと楽しかったです。私の手を通り過ぎていったホットドッグは大きくて熱々で、とてもいい匂いがしました。その日はひどい時差ボケで胃の調子がおかしく、ホットドッグを食べられなかったことが心残りですが。しかしその数日後、地元のソーセージ職人が書いた心温まる本に巡り会えたのですから、私にとっては100ドル札が束で回ってきたのと同じぐらい、価値のある旅になりました。




ボストン野球観戦の思い出を別館の雑記ブログでも綴っています。


*** いつもお読みいただきありがとうございます ***

洋書ブログランキングに参加しています。
ご訪問のしるしに、以下のリンクをクリックしていただけると励みになります↓



Commented by Michiko at 2019-07-03 11:39 x
Hirokoさん

本が大好き!袋物も大好き!そして食べるのも大好き!な私には、この本とトートバッグに一目惚れしちゃいました!

ボストンはどんな街でしたか??
行ったことがないんです。
野球も見られたとのこと…
ほんと、羨ましいです!

アメリカで体験する野球、野球場は大好きです!
7回表終了時に、観客が立って歌うのも!
(歌えませんが…。)

私はシアトルで初めて試合を見たのですが、
ビールの美味しかったこと!!
床は、ピーナッツの殻が散乱していませんでしたか??(笑)

アメリカと野球とビールとピーナッツ!!
次は、大谷がいるエンジェルスの試合が見たいです!

Hirokoさんのブログを拝見して、
NYもそうですし、ボストンにも行きたくなりました。

いつも、多くの刺激をありがとうございます。


Commented by aomeumi2 at 2019-07-03 13:13
青目
こんにちは。イイネをありがとうございます。
私も"上等" という言葉が好きです。上等な男・・・なんて言葉が一番好きです。なかなかいませんけれど・・・。
英語で本が読める・・・憧れです。
私は、アメリカものは、レーモンド・カーバーが大好き。ただし、村上春樹の小説は嫌いです。
Commented by blackfacesheep2 at 2019-07-03 17:51
へえ、ソーセージ職人さんが書いた料理本なんですか。^^
タイトル、料理本らしい形容詞で、面白そうですね。
ボストンも行ったことがない街です・・・ニューイングランドもいつか行ってみたい場所です。
野球場でのバケツリレー、良いお話ですねえ。^^
お互いの信頼関係があって初めて成り立つお話でしょうね。
ボストン・レッドソックスの球場と言うと、フェンウェイパークでしょうか。
いろいろな映画に出てきますよねえ。^^
"Field Of Dreams"にも出てきたなあ♪
Commented by book-of-dreams at 2019-07-03 22:41
> Michikoさん

ボストンは、古い街並みが残っていて、ニューヨークより落ち着いた雰囲気でした。
ボストンで一番のバカ達(褒めてます)が集まる野球場と、
世界一頭のいい人たちが集まるハーバード大学近辺の違いが面白かったです。

ピーナッツだけでなく、いろんなモノが落ちてましたよ〜。
ビールぶちまけてる人もいましたし…。

シアトルで…ということは、イチローがいた頃ですか?
だとしたら羨ましい!
昔飼っていたハムスターの名前が「イチロー」でした。メスですが。

オオタニサーンは背が高くてスタイルがいいので、アメリカのグラウンドでも映えますね。
カリフォルニアは気候もいいし、気持ち良さそう!
私も今度アメリカで野球を見る機会があったら、体調を万全にして美味しいビールが飲みたいです。
Commented by book-of-dreams at 2019-07-03 22:58
> 青目海さん

こんにちは。こちらこそご訪問ありがとうございます!
上等…どういうものかわかっていないし、自分も上等な人間になれる気がしませんが、
だからこそ憧れるのかもしれません…。

英語で「読める!」と胸を張って言えるレベルではありませんが、
頭の体操にはなっているし、世界が広がるのが嬉しいです。

レイモンド・カーバーは私も好きです!
落ち込んでいる時に「ささやかだけれど、役にたつこと」を読むと元気になれます。
惨めで寂しい人が出てきても、どこかドライなところが良いです。

村上春樹の小説は私も苦手なのですが、1990年代あたりまでのエッセイ(「村上朝日堂」「やがて哀しき外国語」)はユーモアがあって好きです。
あのキモチワルイ小説を書く作家と同一人物とは思えません…。
Commented by book-of-dreams at 2019-07-03 23:14
> blackfacesheep2さん

Amazonではなかなか出会えない類の本なので、この本を買えただけでもボストンに行った甲斐がありました。

そうです、フェンウェイパークです。
スタンドにはボストン中のバカ(褒めてます)が集結している感じで、楽しかったです。

フェンウェイパークが出てくる映画はどれも、レッドソックスへの愛が溢れているんですよね。
私は「2番目のキス」と「ザ・タウン」を見て、いつかここに行きたい!と思っていました。

そういえば、フェンウェイパークのすぐそばに、ブルースのライブハウスがあった気がします。
Commented by cranberryca at 2019-07-04 02:43
こんにちは&はじめまして ♪
赤毛のアンのレシピ!
Anne of Green Gables に反応してます (* ´艸`)
沢山の洋書を読まれていて、凄いな~
私日本語の本が入手できない環境だから
仕方なく英語の本を読んでいる人なので(汗)

Shortest Way Home のトランプチョコ!
これ、長男が一つ家に持ち帰った記憶があり…
ボランティアしていた職場でもらったけど
結局、誰も食べなかったような?
反応する場所が変な部分で失礼しました (;´▽`A``
Commented by book-of-dreams at 2019-07-04 09:45
> cranberrycaさん

こんにちは。ご訪問ありがとうございます!
プリンスエドワード島には行かれたことありますか?
*cranberry*さんが撮るプリンスエドワード島の写真、きっと素敵だろうな〜…

海外にお住まいですと、日本語の本が恋しくなることも多々あることでしょう。
日本の出版社はまだまだKindle化に消極的ですし…
(これに関しては、私は真剣に怒っています)

私の場合、ここ数年洋書ばかり読んでいるのは
日本語の本で読みたいと思えるものが少ない…という事情もあります。

トランプチョコに反応していただき嬉しいです!
これで、チョコレートが無駄にならずにすみました。笑
やっぱり、誰も食べないのか〜…( ´∀`)
by book-of-dreams | 2019-07-02 22:54 | 本好きのひとりごと | Comments(8)

趣味で洋書を読んでいます。表紙に一目惚れして衝動買いした洋書のレビュー、本に対する偏愛、英語の勉強などについて綴ります。


by Hiroko